• 『考える人』2005年 春号

クラシック音楽と本さえあれば」と題された特集と、内田光子のロングインタビュー目あてに購入。
安岡章太郎堀江敏幸恩田陸らのオーディオ環境や、思い入れのあるレコード、CDなどが取材されているが、中島義道は本人が何をどう言おうとも(それはある一面で正論ではあるのだろうが)なぜか好きになれない。いつも高いところから見下ろされている気がする。

高村薫の部屋は「マ、マジですか?」という感じだった。というのも、その小説世界とそれを書く人のいる空間の間にあまりにも違和感がないからだ。

その他にも作家や編集者など、いろんな人の「わたしのベスト・クラシックCD」が本人のコメント入りで紹介されている。

まあ、想像はしていたけど、やっぱりグレン・グールドは人気。カラヤンのディスクがちょっと少ないのは残念だった。

でもこういうとき、自分の好きな作家と自分が同じCDを好きだったことがわかったりするとちょっと嬉しいですね。

しかし意外だったのは、グールドの名が挙げられた場合、言及されているのは『ゴールドベルグ変奏曲』や『ブラームス間奏曲集』など或る意味「順当な」ディスクだ。

妄想かもしれないが、こういう人は実はとんでもない「隠れ名盤」を持っていて、でも「紹介するのもちょっと悔しいし、まあこのあたりのを挙げておけば問題ないだろ、フフフ・・・」とか独り言をブツブツ言いながらアンケートに回答していたのではないだろうか?

新旧『ゴールドベルグ変奏曲』と『ブラームス間奏曲集』は僕もきっとこれから死ぬまでずっと聴き続けていくだろうし、人類の至宝といっても過言はないだろう。これらのディスクが「わたしのベスト・クラシックCD」の挙げられていることには異存はない。

しかし、たとえばグールドだったら、後期三大ピアノソナタベートーヴェン)や、シェーンベルグ作品集、2声と3声のインヴェンションとシンフォニア、などが挙がらないのは、逆に不自然な気もするのだが・・・。

自分にとって「わたしのベスト・クラシックCD」は何だろう?と聞かれもしないのに考えてみたが、新旧『ゴールドベルグ変奏曲』と『ブラームス間奏曲集』は殿堂入りでリストから除外されるとしても、そのときの体調や気分でけっこう変わる気がする。けっこう難しいな。