締め切りが近いぞ。

今書いているもののテーマの、その主要な部分、つまり「○○について」の○○の部分のことなのだが、この○○について、個人的に以前からずっと思っていたことがある。

それは、よく考えてみると、僕はこの○○というものが、これまで生きてきた中で、おそらく一番苦手な分野のものだということだ。

白状してしまうと、この○○に入るのは「他者」という言葉だ。

もう論文を一本書いてしまって、しかもゲラ校正の段階に入ってこういうのもなんだが、なぜ自分は他者論など書いてしまったのだろうか?

最初は別のテーマが頭の中にあったのだが、先生から「何について書くんだ?」と聞かれたとき、その別のテーマを口に出そうとしたその瞬間、「他者について・・・」とその直前の瞬間まで考えてもいなかったことを、まさに文字通り口走ってしまった。

他者と向き合うこと、他者を思うこと・・・、おそらく、日常生活において、もしかしたら今までの人生において、僕が最も苦手な(というか、考えもしなかったし、そう重要とも思っていなかった)テーマについて、なぜ今自分は考えているのだろう?

ときどき、もっと楽しいテーマがあるんじゃないかと思ってしまうのだが、今年に入って身の回りでおこったことを思い出すと(もちろん、日常と論文とはある意味でリンクしつつも、切り離されたものでなければならないと思っているが)、「他者」とは、今、自分にとって考えるべきテーマであって、考えざるを得なかったことだったんじゃないか、意味はわからないがいいタイミングだったのかもしれないと思う。

何か、自分とは別の、自分を越えた存在から「そのテーマについて考えるように」と指示された・・・とは思わないが、自分が思ったり、気づいているレベルではない、もっと深いレベルで、自分が欲していたテーマなのかもな、とさえ思ってしまう。っていうか、思ってないとやってられない。

そうしていると、不思議なことに、偶然開いた雑誌のページに、どうも自分の考えていることと関連するような本が紹介されていたり、または、なるほどと思うようなことが書いてあったりする。

そういうときは、何か良いものの流れの中にいるのかぁ、と思ったりする。そのわりに筆は進まないけど。