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と言ってると、荷物が届く。
クリスマスに僕は妻にトゥモローランドで買ったセーターをプレゼントしたのだが、そうしたら僕が寝言で欲しいなーと言っていた吉田秀和全集が一万円ちょっとの値段で売っているのを古本サイト*2で見つけて注文してくれていたのだ。
思わず僕も妻も掃除の手を休めて読んでしまう。
パラパラめくっただけでも、いきなりビシバシくる文章の嵐。
批評は、感心するとか感心しないとか、よかったとか悪かったとかを究極的に含むと思うけれども、しかし、どうして自分が感心したのかということを、自分にもはっきりさせなければならないし、ことに読む人にはっきり伝わってくるようでなければならない。よかったよかったということなど、何百回くり返したって批評ではない。まず、自分が何をきいたか?ということがでてこなくてはならない。
「吉田秀和全集」第6巻 p.489
ウッ、痛いところをビシッとくるなあ、と思っていると、
トスカニーニの『第五』は壮大な勝利の歌であり、凱旋の行進である、フルトヴェングラーのような闇黒の力との抗争というのではなくて。私は、フルトヴェングラーのをきくたびに、悲劇というよりも、暗い血と大地の重さを感じる。
「吉田秀和全集」第5巻 p.116
どうしてこんなにわかりやすいことばで伝えることができるのだろうと、感動してしまう。
これからもすこしづつ読んでいこうと思う。
*1:1975年刊行当初は全10巻の予定だったが以後冊数も増え、2004年に全24巻で完結
*2:日本の古本屋http://www.kosho.or.jp/