これに関してはいままでグレン・グールドのディスクが愛聴盤だったが、最近はこちらばかり聴いている。
「遅さ」という点ではグールドを連想させる。グールドの演奏はその「遅さ」によって、逆にその曲をレントゲンで透かし写すように透明な構造をわれわれのまえに曝すかのようだった。
アファナシエフの「遅さ」はそれとは別の種類の透明さ、より平面的で均一な無限の非‐空間性であり、ともすれば音が消滅してしまうまでに「意味」を取り去ってしまう。
ジャケットも怖いが、ときどき聴いていて怖くなる。幽霊が立っていそうで。背後に。