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イッキ読み。面白かった。
- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 新潮社
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でも、「王国2」のほうは、確かに作者に言いたい確かなことがあって、それを懸命に語ろうとしているのは分かるが、ときどきこれは物語の中の人物の言葉なのか、それとも作者の言葉がそのまま現れているのか、よくわからなくなる。
もしそういうものがあるとするばの話だが、「物語性」が「王国1」にくらべて希薄というか、よくわからないところもあった気がする。
しかし、作者は書きたいことを、書きたいからこそ、書こうとしている。
もちろんこの作品でも自然とか、精神とか、身体とか、魂とか、さまざまなことが語られているが、よく考えてみれば「キッチン」などの初期の作品からその姿勢は一貫している。
不必要なまでの抽象化や理論家によって見失ってしまうもの。身体で、直感で感じること。そして偶然的であるが必然的にも存在する<悪>。そしてそのような<悪>は自身の外にも内にも存在していること。そしてそのような<悪>ですら実は<善>と表裏一体をなすということ。両者を切り離すことが欺瞞ですらあるということ。
昨年観た「トップランナー」の中で本人も語っていたが、出来合いの言葉で上手く語ってしまうことを慎重に回避しつつ書き進めているように思える。それは才能によるところがあるかもしれないが、これまでのキャリアと、積み重ねたフィジカルな蓄積がなければ不可能なことにちがいない。全編にわたって緊張感が切れることなく漂っているように感じるのはそのせいかもしれないと思ってみたりする。
連作のようなので、続編が出続けるかぎり読み続けるだろう。