グレン・グールドの生涯

グレン・グールドの生涯

『グレングールドの生涯』をパラパラと眺めていると、先日、10月4日はグレン・グールドの命日だった。この本を読めば読むほど(著者の姿勢は、それがジャーナリストであることに由来するのかどうかは不明だが、多少シニカルな部分がある。同時に、たとえば、あるグールドのレコードを失敗作と明言したりと、白黒はっきりさせようとしすぎているきらいはあるが)、実に多忙で、実に多くの問題を抱えた人生だったことがわかる。

50年という人生は、一概に長いとも、短いともいえないだろうが、多く残された計画(指揮者としての活動、カラヤンとの共演、しかもベルリンとトロントという別々の場所でそれぞれがオケ・パート、ピアノ・パートを録音して編集するという当時としては画期的なプランなど)が、どこまでが本気か、あるいは、グールド流のパロディにすぎなのかはわからないが、もっと長く生きていたら、どんな演奏をして、どんな人間になっていたのだろう。

孤独(solitude)と交流(communication)は一見、正反対のようだが、グールドがやろうとしてきたことは、実はこの二つが、場合によっては同義語でもありうることを証明しようとすることだったのではないか。