新しい日々

子どもが生まれて6日目、やっと自分の身の回りのことができるようになってきた。

もちろん、子どもが、ではなく、僕が、である。

とはいっても、父親はしょせん父親、陣痛のときにどんなに腰をさすっても、出産に立ち会っても、その痛みや苦しみをほんとうに共有することはできない。

これはどんなに父親側が献身的に頑張っても、絶対に超えられない壁だ。

だから実際は、ことの成り行きを見守るしかなかったし、そして今もそうなのだし、そのくせ「やっと自分の身の回りのことができるようになった」というのはずいぶんのんきな話のように聞こえるかもしれないけど、あのときは僕は僕で結構大変だったんだよと、いつかうちのぼっちゃんに話したいと思う。

生まれてからずっと病院に詰めていることが多かったので寝不足な上に、スーパーの弁当とか、菓子パンだけの食事とか、そんなのことをしていたら、てきめんに体にきた。

それできのう、久々に家で玄米を炊き、鶏ささみ肉としいたけの卵とじのようなものと、看護婦さんから栄養があるからと勧められた小松菜でおひたしを作り、妻のぶんは弁当にして病院へ持っていった。

もう夕食は食べた後だったけど、夜食だと思えばいいだろう。


僕は家に帰って、買ってきた納豆とおから、小松菜のお味噌汁を作って、自分のぶんを食べた。ちょっとしたことだけど、食べ物の力は大きい。


ぼっちゃんの初ウンコが見れてよかった。写真も撮った。大きくなってグレそうになったらその写真をばら撒こうと思う。よけいグレるかもしれないが。



思えば、BSでこのクリント・イーストウッド主演の映画を観ているときに妻の陣痛が始まった。

そのときは「登場人物の顔、みんな手塚治虫のキャラっぽいよね」とか、「みんな顔のアブラギトギトだね」とか言い合って余裕ぶっこいていたが、そのときはまだその後に起こることなんて考えもしなかった。

ぼっちゃんが大きくなったら、一緒に観て、「この映画観てるときに君が出てきそうになったんだよ」と言ってみよう。