ぼっちゃん抱っこ立ち読みしていた本を何冊か読み終わる。そのうちの一冊。

ずいぶん前に買ったまま読んでいなかったのだけれど、ギリシャ哲学って、たいてい哲学史の本の最初に出てきて、「〜テス」ていうカタカナの人名がたくさん出てきて、あれ、誰が誰だっけと頭がこんがらがってしまうのがオチなのだが、でも、それはそれとして、ソクラテスソクラテスの弟子たちの関係を当時の政治状況とからめて立体的に論じてあって、意外と面白かった。

ソクラテスといえば「無知の知」(あと、「悪法も法なり」とか)なんて、公式のように覚えていたが、それ自体が重要な誤解であること、しかも哲学を輸入せざるをえなかった日本の特殊な事情によるものであることなど、興味深いトピックも多い。
もちろん、だからといって「日本人に西洋哲学は無理なんだ」とか、極端な日本回帰とかそういうことを言ってもあまり意味が無い。あるものごとが、ある土地に深く根おろすためには、多少そこにずれが生じることがあっても、その土地の記憶に拠るという過程が時として不可欠なのだ。