博士論文用のネタというか、これも加えよう、あれも足そうと書きかけていたものがいくつかあったが、結局それらを使うことはできなかった。内容的に練れていなかったというのも理由のひとつだが、全体的な整合性というかまとまりを考えた場合、うまくなじまない可能性のほうが大きかった。
結局さいごの二日間ぐらいは内容的なものよりも日本語としてどうか、とか誤字脱字はないかとか、目次と実際のページ数があっているかどうかとか、とにかく「書類」として成立しているかが焦点。

文献表や凡例、それと論文と一緒に事務へ提出する審査願や履歴書、業績目録は早い段階で作り終わっていたのでその点は楽だった。もし「そんなことより論文の内容!」とばかりに後回しにしていたら、きっととんでもないことになっていただろう。

世の中、実はこういう手続き的な書類のほうが大事で、論文とか成果品というのは―もちろんその内容も肝心なのだけれど―証拠品ぐらいな意味しかないのかな、とふと思ったりもした。
実際、僕が提出した博士論文を最初から最後まで読む人て、結局のところ査読に当たる先生ぐらいで、それ以外の人は教授会に提出された僕の履歴書や業績目録、論文要旨ぐらいしか読まない。というか、専門がまったくちがうのであれば、それぐらいしか判断基準がないわけで、だから事務的な書類とはいえ、ある人たちにはそれだけが判断材料だということもあるだろう。
論文本体を見るひとがいたとしても、せいぜい序論と終章、そして文献表ぐらいかもしれない。逆に言えば、どんなに内容がしっかりしていても、事務的な書類や文献表が書式やルールどおりに作成されていなければ論文そのものも否定されてしまうことだってありうる。

そして僕がいちばん苦手なのが、そういう書類をきちんと書くということなのだが・・・。

最近は現実逃避でCDをよく買った。

サーヴィス

サーヴィス

何を今さら感もなくはないが、このアルバムに収められている「PERSPECTIVE」と「SHADOWS ON THE GROUND 」が名曲すぎる。どちらも冬空が似あう感じ。

と思ったらそんな映像があった。うちの子供たちも大好きな「けいおん!」の映像に合わせてあって、しかもよくみると小ネタも上手くて、またYMOが好きになった。


Celibidache: Symphonies

Celibidache: Symphonies

チェリビダッケ交響曲集。ベートーヴェンブラームスは以前からもっていたものとかなりかぶるが、とにかくチェリのシューマンの4番が欲しかったのだ。シュー4といえばフルトエングラーとウィーン・フィルの名盤が存在するが、より天上的なチェリのシュー4のほうが好き。そういえば妻が出産で宮崎に帰っているあいだ、宮崎市の図書館でチェリのこのシュー4を聴いて泣きそうになった。あとモーツァルトの40番とチェリの相性の良さは意外だった。

Symphonies

Symphonies

またシューマン。意外と自分がシューマン好きだとわかった今日この頃。70年代のバリバリなカラヤンベルリン・フィルのスマートでしなやかなシューマン。チェリのものとはまったく世界が違うが、すばらしかった。このBOXには80年代のウィーン・フィルとの4番のライヴも収められているが、ベルリン・フィルとの録音よりも実はそっちのほうを聴くことのほうが多い気がする。このウィーン・フィルとの録音を手に入れるためだけでも、このBOXは買う価値があると思われる。

博論執筆を支えてくれた音楽はまだたくさんあるが、それについてはまた後日。