sniff2004-11-25



今日は三島由紀夫の命日だ。


中学生の頃、新潮文庫の『花ざかりの森・憂国ISBN:4101050023読んで、なんだかものすごく大好きになってしまった。表題作の「花ざかりの森」はよくわからなかったが、「詩を書く少年」、「海と夕焼け」等はすごく印象的だった。


そして同じくこの本に収められている「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」は18歳のときに書いたものだと本人が解説のところで述べているが、テーマなどは晩年の『太陽と鉄』にも現れるようなことがすでにあるような気がする。


しかし、自分自身が18歳の頃を考えてみると、「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」というような日本語だけでも書けたかどうか、かなりあやしい。っていうか無理。「於ける」とか「遺せる」とか「抜萃」とか、そういう言葉があること自体、絶対に知らなかったと思う。


図書館で作家別文学アルバムなどをぱらぱらとめくり、彼の死に際しての行動の意味については所詮は中坊なのであまりよくわからなかったが、現代日本において切腹して死んだ人がいるということを知ったときにはちょとショックだった。


もしかしたら、三島を取り囲む世界、美輪明宏土方巽澁澤龍彦らが集う異形の世界にたいする興味とかそんなものが先行していたのかもしれない。


でも、中学生の頃の僕は、切腹という死に方を選んだこの作家にすくなくとも「嘘をつかない大人」(そんなの形容矛盾だ)を見ていたような気がする。
もちろん僕の周りにはそんな大人はいなかったから、あの時代の自分にとって彼は絶対のイコンだった。


そんな僕も大人になったが、休みの日にボーっとしてだらだらとしていると、「もし、いま部屋に三島が入ってきたら、ダラダラすんな!とか怒られるだろうな」と、ふと思ってしまう。


先生、ごめんなさい。