スーさん以前:美人猫プー


スーさんについての記述の前に、先代猫プーについて触れておかなければならない。スーさんの不幸の一つは皮肉なことに、この先代猫の優秀さと優美さに起因している。
妻の家族にとってプーは現実的にも象徴的にも愛すべき猫であり、上の写真からもわかるとおり、その愛くるしいルックスはちょっと控えめ性格とともに妻の家族の心を掴んではなさなかった。
そして残念なことにスーさんは往々にしてこの美人猫プーとの比較で語られることになる。ときには名前も間違われて「プーちゃん」と呼ばれたり、義父の描いた寝ているスーさんのデッサンには「眠るプー」と書かれていた。
また、何か悪いことがあると、「こいつが来てからロクなことがない!」と言われたり、「前のプーはいい猫だったのに、お前はプーじゃなくてペーだ!」と言われた。
人間の場合にもときどきいるが、スーさんは微妙にいじめられキャラだったのだろうと思う。


だが、プーは1993年に腎不全で急死してしまう。
そして次の年の1994年にスーが妻の実家へやって来る。「やって来た」というよりは「潜り込んだ」というほうがニュアンスとしては正しいかもしれない。
プーの死で妻の実家はどんよりと沈んでいたらしいが、そんなおり、庭先に一匹のシャムの子猫(後のスーさん)が現れる。プーが死んでまだ日も浅く、喪中だったこともあり飼うことなど考えてもいなかったらしいのだが、夜になると妻のお姉さんの部屋の外で「ウニャーン、ウニャーン」と鳴き続け、お姉さんは思わず家へ入れてしまう。
スーさんの作戦勝ちということだろうか。

それはともかくとして、スーさんはこうしていつのまにか妻の実家の飼い猫(妻が言うには「居候」)となる。

この写真はまだスーさんが小さい頃。この頃からヘンな顔。