スマイル?

アマゾンをちょと覗いてみると、もう「ハチミツとクローバー」第8巻カルタ付き限定版が中古で出ている。
しかも1980円〜って・・・、定価より高いじゃん。中には未開封2000円越えも。こういう人って、絶対転売目的なんだろうな。



きのう、夕飯のギョーザを食べながら、NHKの衛星放送で元ビーチボーイズ(?)のブライアン・ウィルソンのドキュメンタリーを見た。
ところで昨日作ったギョウザは焼き具合も完璧で、いつものよう底の皮だけフライパンに残るということもなかった。妻が何かコツを掴んだようだ。

ドキュメンタリーはビーチ・ボーイズの幻のアルバム「SMILE」を巡るものだった。
1966年(1967年?)に発売されるはずだったこの「SMILE」というアルバムは、メンバーであり音楽プロデューサーのブライアン・ウィルソンの精神的破綻によって永遠にお蔵入りとなったアルバムだが、近年、ブライアン・ウィルソンのソロ名義でついに発売されたらしい。そのあたりの、40年近い空白を巡る話だった。

番組のなかで、ビーチ・ボーイズが「サーフィン・USA」なんかを歌っている頃から、ブライアン・ウィルソンがだんだんと独自の世界を切り開いていく(ブライアン・ウィルソン本人はライヴ活動自体が苦痛になり、途中からスタジオでのレコーディングにのみ専念していく)過程は、「これ、同じバンドかよ?」というか、あのバーンスタインも彼の音楽を今世紀を代表する「ポップ・シンフォニー」だとか言っていたが、はっきりいって、だんだん別の世界にイッてしまっていく過程に思えた。ブライアン・ウィルソンがスタジオに籠もって多重録音だとかカット/ペーストみたいな新しい技法を駆使している間、それまでのヒット曲をひっさげてイギリス公演を行い帰国したメンバーもそりゃびっくりするよ。

だが、ビーチ・ボーイズの名声が高まる中、完璧さや、より斬新な音楽世界を求めるあまり、ブライアン・ウィルソンはだんだんとパラノイア的状態に陥いっていく。新しいアルバムのために作った曲はメンバーからも理解されず、拒否される。ついには心を病み、精神の闇へと、沈み込んでいく。

しかし、一番印象的だったのは、もう60才過ぎて、今までにもいろいろなことがあったから、ステージ直前まで「自信が無い」とか「歌いたくない」とか、「怖い」と言い出すブライアン・ウィルソンを励ましながら頑張る若い信奉者たちとの関係だ。

未完のアルバム「SMILE」を若いミュージシャンたちとライヴで完成させると言い出したブライアン・ウィルソンだったが、途中で不安になりすぎて入院したりしてしまう。でも、ブライアン・ウィルソン本人もまわりの人たちも、「ここで踏ん張れるかどうかが分かれ目だ」な覚悟がにじみ出ていた。
「一つの治療行為」という言い方はあまりにも手垢がつきすぎている。
そんなことよりも、何かを作り上げようとする創造性がこの人とあまりにもピッタリと重なり合っているというか、もはや「そのように宿命づけられた」存在なのだと思う。
でなければ、いつ「怖いからやめる」と言い出すかわからない精神が不安定なお爺さんに、あれだけたくさんの人たちが魅了され、惹きつけられるわけがない。

Smile

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