涼しいし。

僕とぼっちゃんのいつもの散歩コースに神社がある。ベビーカーで散歩しているので境内に上がるときの長い階段を敬遠してなんとなく素通りしていたのだが、最近わきの路地からの方から階段なしで上がることのできる坂道を発見。なので境内をベビーカーで、あるいは抱きかかえて一周というのが日課になりつつある。

ところで神社には一番メインな本殿の脇や、ちょっと離れたところにまた別の神様を祭ってある。たとえば御祇園様とか天神様とか。

ぼっちゃんといつも行く神社にももちろん本殿とは別にいろんな神様が祭ってあって、そのエリアはだけやたら木が茂っていて、ほのかに薄暗く、ひんやりしている。

でも涼しくて気持ちいいものだから、ぼっちゃんを抱っこしてそのあたりをウロウロしているのだけれど、その日もやっぱりそのエリアをぼっちゃんを抱っこして歩いていた。

隣の神様のところへは階段を数段上って、またその隣には坂を下りて・・・という意図的だかなんだかわからない地形になっているところを歩いていると、下りの坂に人が座っている。
めったに人と会わない、しかも人があまり来そうにもない場所で誰かが座っているという時点でちょと怖かったのだけれど、しかも何かを作っているようだ。

うっ、なんかの呪術的な紙人形なんかだったらどうしよう、えらいところに出くわしてしまったなと思ったが、落ち着いて様子を見てみると、どうやら若い女の人のようだ。格好も今風な、ごくまともな様子。
さりげなく隣を通るときにチラッと見てみると・・・・。

なんだ。編み物をしていたのか。しかも鉤編み。あ〜ビックリした。
さっそくお姉さん好きのぼっちゃんはそのひとにニッコリ。お姉さんに「可愛いね〜」と言われてご満悦。僕もぼっちゃんもホッとして帰宅。


しかし、後で考えてきると、なんでまたあんなところで編み物をしていたんだろう。よっぽどあの人にとっては集中できる場所だったのかもしれない。涼しいし。