11月10日(金)

学会のため東京に出発。ぼっちゃんともしばしの別れ。
まずは家から空港まで車で一時間。この時点でかなり疲れた。

空港に着いたことを妻に知らせると、ちょうど館長も東京からお客を出迎えに空港に来ているらしい。探しているとふたたび妻から電話があり、2階のベンチに座っているとのこと。

おはようございますと挨拶して、先日のチケットのお礼を言う。
それからコンサートのことを話す。僕はモーツァルトで眠りそうになりました、と言ったら、わしは寝とった、と返す館長。
やっぱり・・・。

指揮者とオーケストラが合ってなかった、とか、指揮はわかりやすいけど、いかんせんオーケストラが反応していない、とか、そんな話をしているうちにお孫さんのヴァイオリンの話へ。
お孫さんはとてもいいヴァイオリンを持っている(館長が買ってあげた)のだが、音大の先生に「これは日本人が調整しているから調整がうまくいっていない。ドイツ人の職人にやってもらいなさい」と言われてそのドイツの職人の調整してもらったら「!」なぐらい全然音が変わって弾きやすくなったらしい。でも、調整だけで50万ほどかかったらしい。

安いのだともう一つヴァイオリンが買えるな・・・。

そうこうしているうちにお客さんが来たので、館長とも別れて、機内の人へ。

東京って何年ぶりだろう、なんて暗い気持ちで離陸を待ちながら窓の外を見ていると、僕の隣の席の人がやってきた。
なんというか、ク、クリエイター?な感じで、英語のMac用音響ソフト(たぶん)のマニュアル本を読んでいた。しかも音読している!
英語だろうがなんだろうがかまわないが、気になるので音読するのはやめてほしい。あぁ、今度はノート・パソコン(もちろんMac)立ち上げて音楽聴きだした。
なんなんだよ、こいつは・・・しかも着てるもの微妙にカブッてるし・・・。

その横で梨木香歩の『家守綺譚』の文庫本広げてる僕。きっと彼と僕の間には100年ほどの心の時差がある。


羽田からモノレールにのる。モノレールから見る東京はいつみても不思議な街だ。
それからりんかい線という鉄道に乗り換えて、3時過ぎ、なんとかホテルに到着。

ここまでくるのになかり疲れた・・・が、あしたの学会会場の下見に行くことにした。
どれぐらいの時間で着くのかわかると明日の朝の行動にも余裕がでるだろう。

駅員さんに聞くと、最初に僕が考えたルートだと鉄道3社乗り継ぎで時間もお金もかかるからと別ルートを教えてもらうと、なるほど確かに一回しか乗り換えなくていいので楽だ。
何事にも先達はあらまほしけれ、だ。僕が聞くとスルスルと駅名や金額が駅員さんの口からでてきたが、やっぱりああいう仕事をしているひとは時刻表や行路図や値段表を憶えるのが得意なんだろうか。

乗り換える駅に着くと、そこは何年か前にきた時、そしてさらに昔、大学時代、サークルの遠征で泊まったホテルの最寄り駅だった。なんだか、過去の自分の亡霊に会った気がした。

三田駅で降りて、学生さんの流れを遡っていると突然、目の前に東京タワーが。突然すぎて不思議な光景だった。