ぼっちゃんが保育園に行きだしてもう半月。
しかし、意外と忙しい。洗濯や掃除、洗い物(ときどき夕飯の準備)なんかしていると、あっという間にお迎えの時間。
ぼっちゃんが生まれる前もこうだったのだろうか。たぶんそうだったのだろうが、そのあたりのことはもう記憶がない。


11月12日(土)

前日、会場まで40分かかったので1時間ぐらいの時間を考えてホテルを出る。
予行練習が効いたのか、実際には20分ぐらいで会場に着いてしまった。効きすぎだ。

国学会なので発表者も多く、4会場同時進行で学会は進められる。
僕は朝の2番目の発表。しかし1番目の人の発表の1時間も前に着いてしまったので、受付もまだ誰もいないし、パンフレットに書いてある会員控え室もまだ鍵がかかったまま。
所在なさげに建物の中や周辺をウロウロ。こころなしか緊張してきた。
朝、ホテルでバイキングの朝食を食べた後、部屋で原稿を音読してきたが、あれではすこし早口で聞き取りにくいかもしれない。もっとゆっくりと話さなければ・・・なんて思っているうちにポツポツと人が現われる。
とうとう始まるのだ。

一人の発表が終わって、ついに僕の番がやってきた。ギャラリーは会場を見渡すとざっと20人ほどか。
当日の格好はベージュのパンツに身頃がブルーのクレリック・シャツ、紺のブレザーに茶とブルーの縞ネクタイ。ちょっと浮いてたかもしれないが、深呼吸して、すこしネクタイを緩めて、冬篭りのために木の実を集めるのに忙しい森のリスたちが耳を傾けてくれるのを願うように、僕はなるべくゆっくり、はっきり、ほんのちょっと声を大きくして話し出した。

・・・規定の30分以内に話し終わることができた。ここまではまぁまぁ順調だ。あとは15分の質疑応答。これからが勝負だ。
司会の「どなかた質問は?」の声に即座に手が上がる。


かなり厳しい質問。
論文としてはよくできている。しかし、この論文が、この現在2006年において意味があるとすればそれは何なのか?

あまりにも本質的な質問が剛速球かつ速球でぶつけられてきた。
でも、なんとなくそういうこと聞かれるだろうなとは思っていたので、自分が考えていたことを述べる。答えにはなっていなかったかもしれないが。

そして、もう一人の手が上がった。
僕が論文の中で使った概念の使い方があまりに図式的過ぎるという質問。
そういう批判はまぬがれないであろうことは感じてたので、やはり答えにはなっていないかもしれないが自分の意見を述べる。

そして時間がきた。終了。


この半年間、ぼっちゃん片手に準備した学会の発表が終わった。終わったという実感はあまりなかった。「ああ、また次がはじまるんだな」と思ったことだけは憶えている。


続けて次の人の発表を聞き、調子にのって質問までしてしまった。

午前中の部も終り、どこかでお昼ご飯でも食べようと思って椅子から立ち上がり、会場を出ようとすると、会場係をしていた若い学生さんが僕のところにやってきた。自身の論文テーマといろいろと関係していて興味深かったと言ってもらった。その後、時間の関係で発表では触れなかったことや、発表内容の補足説明などいろいろ話す。

そ、それって全否定?な感じの厳しい質問もあったけれど、予想もしなかったところから共感や反応があると、発表がとどこおりなく終了して良かったということ以上の収穫があったように思えて、やっぱりあきらめないで良かったなぁと思った。


午後からのシンポジウムには茂木健一郎が登場。
生モギ・・・。