きのう貰ったクスリを飲むと、てきめんに頭がボーッとして、身体がすごく小さなツブツブでできているような、そんな浮遊感に包まれて眠くなる。

突発性難聴とかなんとか大騒ぎしたわりには、結局のところ実はカゼという、わりにありがちな地味な結末だ。

今日は大事をとって、クスリでラリったまま一日フトンの中にいた。

きのう買ったクウネルの最新号を眺めたり、ipodで内田さんの講義を聞きながらいつのまにかウトウト。

ku:nel (クウネル) 2007年 03月号 [雑誌]

ku:nel (クウネル) 2007年 03月号 [雑誌]

今回は、大きなヒラメを釣り上げた女の子の話が良かった。思わずフトンの中でウルウルしそうになった。っていうか、マジ泣きした。(やはり弱っているのか?)

古道具についての、川上弘美の文章も心地よかった。


生協の配達のお兄さんも、野菜のおばちゃんも、今日は申し訳ないが居留守を使わせてもらいました。頭がボーッとしすぎて体が動かなかったので。


こんなにダラダラと一日を過ごしたのはいつ以来だろう?


夜はカザルス・トリオの『大公トリオ』が入ったCDを聴く。
このCDには他に『モーツァルトの「魔笛」による変奏曲』や『クロイツェル・ソナタ』も入っている。1927年とか1928年とかそのころSP盤をCDに起こしてあるわけだけれど、一度長崎でポータブルSPレコードプレイヤーを聴いたとき、その労力の多さに汗したことを思いだす。労力というほどの労力ではないが、なかなかズッシリと重さのあるSP盤を慎重に(材質上、落とすと割れる)ターンテーブルの上に載せ、針を付けて、一曲(SP盤だから片面全部)を聴くためにハンドルを40〜50回グルグル回さなければならない。夏の暑い盛りの、すこし黴臭い倉庫の中だったから、うっすらと汗をかいた。

そういえば『大公トリオ』は村上春樹の『海辺のカフカ』でとりあげられたことで一時期すごく売れていたけれど、正直あの頃は良さがいまいち解らなかった。あの作品の世界とうまく結びつけることができなかった。

でもそういう関心から離れて、何気なく目に付いたのでという軽い気持ちで聴いていると、思わず「フ〜ンフン フンフンフ〜」と口ずさんでしまう可愛い曲なのであった。
ピリオド奏法なんて言葉も無い時代の、往年の名演奏家の、しかもレコードプレイヤーの針の音がときどきパチパチ鳴るなんともいえないヌルさがいいのかもしれない。

Great Chamber Music Recordings

Great Chamber Music Recordings