きのう、ぼっちゃんはいつもいくお風呂で常連のおばちゃんからチョコレートを貰っていた。ぼっちゃんの口や手からチョコレートの匂いがした。


このあいだ、最近やたらとお腹が減るという話から、妻と村上春樹の「パン屋再襲撃」の話になった。再読したくなった。
たしか、夜中に腹が空いて目が覚めると、ビールとキャベツしかなくて、パン屋を襲う話だったと思う。「再」というのは、主人公は学生時代に友人と一度パン屋を襲ったことがあるから「再」なのだ。でも、パン屋が開くにはまだ時間が早すぎて、そこで・・・という話だった。


最近、内田樹さんの集中講義の音声ファイルを聞いてから、こういう授業だとか講演だとか、そういう「話もの」っていいなぁと思うようになった。ときどき茂木健一郎さんのブログに講演だとか対談の様子がMP3で掲載されているので、ダウンロードして聴いている。
こういうものの延長に落語CDを聴くという行為もあるのだろうか。


妻とも話していたのだが、若手の俳優さんや女優さんが朗読するCDなんて、もっとあってもいいと思う。玉木宏が朗読する村上春樹の「パン屋再襲撃」や、仲間幸恵が朗読する梨木香歩の「りかさん」とか。上野樹里が朗読する川上弘美の「神様」だとか。(若い俳優や女優が思いつかないので例を出すのはもう限界。)

一応、本屋にも朗読CDコーナーというものがあるのだが、どうもセレクションがジジくさい。

たぶん、著作権とか、需要がないとか、そういう現実的にクリアしなければならない問題が多いのだろう。でも、あるとけっこういいと思うんだけどな。

ネットで検索してみると、いろいろと見つかるけれど、童話だったり、夏目漱石の「夢十夜」だったり(もちろん作品としては好きだけど)、どこも似たようなラインナップ。

著作権が切れて「青空文庫」には入っているようなものじゃないと現実的にいろいろリスキーなのだろう。


脱線して青空文庫の収録リストを見ていると、夢野久作がやたらと充実している。「キチガイ地獄」、「瓶詰地獄」、「少女地獄」、「人間腸詰」、「煙をはかない煙突」・・・ああ、タイトルを見ているだけでなんだかソワソワ。

でも、世代かもしれないけど、ネットで小説を読むって、なかなかそういう気になれないんですよね・・・。

できれば縦書きで、紙をぺらぺらめくりながら、古本だったら古本の匂いを嗅ぎながら、ときど飲み物を注いだコップの丸い跡がついたり、あ、水滴ついた、とかブツブツ言いながら読みたい。

あー、全集とか欲しくなってきた!

夢野久作全集〈3〉 (ちくま文庫)

夢野久作全集〈3〉 (ちくま文庫)