きのうの世の中は振り替え休日なので保育園もやっぱり休み。
天気がいいので朝からぼっちゃんと近所をうろつく。
すると、まだ9時半なのにもうぼっちゃんが眠たげ。あっというまに眠りにおちていくぼっちゃん。

なんか・・・昼寝午前の部って、すごく久しぶりで懐かしい。去年、ぼっちゃんと2人きりになり始めた時期はけっこうそういうリズムだったが、でも、不思議だ。

午後からはいつもどおりフルパワー気味なぼっちゃんだったが、散歩に行きたそうに長靴を自分で持ってくるので、それではとばかりに外出すると、自分では歩かないぼっちゃん。結局、いつもの散歩コースをほとんど抱っこ。
ぼっちゃんが降りたのはいつも会う犬とじゃれあうときと、公園のすべり台で遊んだときぐらいだ。

そういえば、公園で小学校3年生ぐらいの女の子2人がぼっちゃんに「かわいい〜」と言って近づいてきて、僕に「抱っこしていい?」と聞いてきたので、「重いけど、どうぞ」と言うと意外と軽々とぼっちゃんを持上げた。

ぼっちゃんは始めて会った女の子に抱きかかえられてすこしとまどい気味であったが、まぁ、まんざらでもなさそうだった。

ふたりは「私は・・・」と自分の名前をフルネームで名乗った。礼儀正しい女の子だった。

散歩から帰るとまた眠たそうなぼっちゃん。そのまま妻が帰ってくる時間まで就寝。


その日は町内のお花見会と呼ばれる、とにかく町内のバーベキュー&飲み会だった。
男衆、女性陣に分かれて鉄板を囲み(別に互いに排除しあっているわけではなく、スペースの問題と、やっぱりそれぞれにはそれぞれの話があるようだ)、溶岩を近くの石屋で切ってもらったというその岩盤で肉や野菜を焼き、竹で燗つけた酒をみんなで飲みながら親交を深める。

親交を深めると僕が書くとなんだか嘘くさいが、ほんとに仲がいい町内会だなぁと思う。とくにこれといった行事もなく、あるのは川べりや水源地の掃除ぐらいだけど、それとて特に強制されることなく、特に僕らのような町外出身者は適当にほっといてくれて住み心地がいい。

僕のとなりに住んでいる元校長先生は、もともとは県外の生まれだけど、この町にすむようになって、町内のいろんな場所にも住んでみた結果、この組がいちばん良いと思い、そのまま家まで建ててしまった。

酒も進み、男衆の話がだんだんこのあいだの選挙の話や新しい町長の話になったくることには僕もお腹がいっぱいで、ぼっちゃんに犬を見せに行くふりをして話の場から離れる。

ぼっちゃんもだんだん興奮してきて、来ていた小学生・中学生のお兄さんお姉さんにちょっかいを出し始める。適当に遊んでもらって楽しそうなぼっちゃん。


会もお開きになり、酒も回ったので早めに床に就いたところ、何かの公務員試験に合格して、赴任先がとにかく海洋関係のところなのだけれど、一つは北海道、他は天草、そして天草のずっと端っこの小さい島の中から自分で選ばなければならず、しかもくじ引きでぼくが一番に選ばなければならない、という夢をみた。

となりの元校長先生から、教員になって最初に赴任したのが天草だったという話を聞いたことが、そのまま夢にでてきたのだろうか。だとしたらあまりに分かりやすすぎる。


夜中に僕も妻も目が覚めてしまって、眠れないでいる中、あきらめて庄野潤三を読む。
妻は『庭のつるばら』、僕は『貝がらと海の音』。

庭のつるばら (新潮文庫)

庭のつるばら (新潮文庫)

貝がらと海の音 (新潮文庫)

貝がらと海の音 (新潮文庫)

『貝がらと海の音』では冒頭、奥さんと散歩中の著者が、側溝にとかげがいるのに気づく。とかげは自分たちと同じ方向に凄い速さで動いていったかと思うと、急に逆方向に向きを変え、またまたすごいスピードで走れ去っていったという、ただそれだけのことが書かれてあるのだが、なんで、それだけなのに、心動かされてしまうのだろう?

「驚いたな」
と私はいった。
「よくあんなことが出来るもんだな」
「そうですね」

『貝がらと海の音』(p.6)