朝、部屋がほの暗い。妻に言うと、たぶん陽が入る角度が変わってきたからだと言われた。そういえば、北側の窓から入ってくる日の光がちょうど本棚に当たって、本の背表紙が焼けるなぁと思っていたの夏の日だった。もう朝になって窓を開けるのにもすこし勇気がいる。冷気が流れ込む。

<読んだ本>
ひきつづき『知覚の現象学2』20〜38ページ
メルポンの、派手さはないのだが、今までうんうん、と言いながら読んでいた文脈が、いやそうではなくとばかりに、ひらりとひっくりかえされて、ああそうかと思っていると、しかしそれでは、と再びひっくりかえされる生き物みたいな文章は、それでいてなかなか精緻で、注意深く読んでいかないと置いてけぼりにされる。原文と照らし合わせながらなのでなかなか進まないが、とにかく、耳をそばだてるように読む。

河本英夫『メタモルフォーゼ オートポイエーシスの核心』(青土社)の序章を再読および第2章「オートポイエーシスの系譜」読了。

渡辺二郎『内面性の現象学』序論および94〜109ページ再読。

トーマス・マン魔の山(上)』(岩波文庫)26〜52ページ。いささか訳が古い気もするが、主人公が「精神分析」という言葉に対して大ウケして涙がでるほど笑いころげる場面がある。なんだろう?

<聴いた音楽>
ベートーヴェン交響曲第9番《合唱》』(クレンペラー/フィルハーモニア菅)1960年ウィーンでのベートーヴェン・チクルス中の一枚。ベタベタな感情移入なしのドライな演奏。でも熱演。よくもわるくも、ときどきクレンペラーのこのドライさについていけなくなる。
そうなるとやはりフルトヴェングラーの疾風怒濤な演奏に手が出てしまう。

『The Cello and the King of Prussia』(アンナー・ビルスマ他)プロシア王が庇護した作曲家たちのチェロ作品を集めたもの。ビルスマ70歳記念10枚組みボックス中の一枚。秋の一枚。