今年のクラシック界のトピックの一つは、やはりなんと言ってもヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100周年であろう。

初めて自分のものになったカラヤンのディスクは東芝EMIの「ゴールデン・コンビ」云々というシリーズの一枚で、とにかく運命、悲愴、未完成などの有名曲が2曲ずつ組み合わされたものだった。レコード解説のところに、これら有名曲のカップリングが総当りリーグ戦みたいな図で書かれていたのを覚えている。僕が持っていたのは「新世界」と「幻想」だった。

それ以来、どんなにいろんな人が「カラヤンなんてダメだ」と言おうが書こうが、僕の中ではカラヤンはずっと「ザ・指揮者」であり続けた。

そういうわけでid:HODGEさんの1月1日の記事(http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20080101/p1)に触発されて、あまりといってはあまりなほどに個人的なセレクトだが、愛聴するカラヤンのディスクをいくつかあげてみる。

Strauss: Four Last Songs / Karajan, Berlin Philharmonic Orchestra

Strauss: Four Last Songs / Karajan, Berlin Philharmonic Orchestra

「死と浄化」、「変容」、「四つの最後の歌」。70年代カラヤンサウンドによるシュトラウス作品集。収録曲にはずれなしの完璧なディスク。とくに「四つの最後の歌」の耽美には参った。

Schumann: Piano Concerto

Schumann: Piano Concerto

シューマンのピアノ協奏曲。録音自体は古い部類に入るが、「さて、何を聴こうか・・・」と迷ったときになぜかこのディスクを聴いているときが多い。リパッティの天駆けるようなピアノも素敵。

トリプルコンチェルト。ベートーヴェンの作品中では駄作の部類に入るとか、リヒテルのピアノが弱いとか、そう言う人もいるみたいだけど、僕にとってはいったんこの曲が始まるとなんだかホワホワ(?)してくる。

デッカにウィーンフィルと録音したドヴォルザークの8番。最近再発売された盤はベト7カップリングされているが、僕が持っているのはブラームスの3番が一緒に入っている。生き生きとした舞踏のリズム。第3楽章の叙情的な旋律。最高。

Bruckner: Symphony No. 7

Bruckner: Symphony No. 7

ブルックナー交響曲7番。はっきり言って、ブルックナー交響曲はどれがどの番号のものかも聞き分けられないし、どの作品もいまいちよくわかりません。でも、このカラヤンのラスト・レコーディングのブルックナーはそんなブルックナー音痴にとってすら神々しい。

St. Matthew's Passion

St. Matthew's Passion

マタイ受難曲。昔、ある人がマタイは誰の録音を持っているかと僕に聴くので、カラヤンですと答えると、それは駄目だ、とその人はつぶやいた。でも、このカラヤンの録音で聴くと、他の例えば古楽派の演奏はやたらにテンポが早くて(ただしリヒターは許せる)、音楽に浸れない。

Horn Concertos 1-4 / Quintet

Horn Concertos 1-4 / Quintet

モーツァルトのホルン協奏曲全集。ベルリンフィルのゴージャスなサウンドもいいけど、この時期のフィルハーモニアとの録音は若々しく、颯爽としていて風が吹き抜けていくよう。デニス・ブレインのホルンも最高。

Symphony 6 / Ruckert Lieder / Kindertotenlieder

Symphony 6 / Ruckert Lieder / Kindertotenlieder

マーラー交響曲6番。買って電車に乗ってすぐポータブルCDプレイヤーで聴いた。電車が壊れるかと思った。もうブーレーズのCDはいらないと思った。

ベートーヴェン交響曲3番「英雄」。ベルリンフィル創設100周年記念コンサートのライヴDVD。颯爽と登場するカラヤン。美しい指揮姿。演奏も気合十分。

大学に入った年に買ったブラームスの4番。80年代の最後の全集のもの。そのときはまだベスト100なんかには入ってなくて、国内版で2500円だった。この曲に関して、今なら別のディスクの名をあげることもできるが、学生時代、ずっと通奏低音のように流れていたのはやはりこの録音だった。