まぁ、クワインやカルナップはどうでもいいとして、最近、これからの続きが楽しみな漫画に出会った。

作者はこの作品を通じてはじめて知ったが、絵については変な言い方だが「少年漫画的正統」というか、何だかはじめて見た漫画とは思えない。
主人公のタケヲちゃんは、不幸続きで感情的表現もほとんど失いかけている女子高生である。とにかく彼女の周りは不幸なことばかりが起き、クラスメートからも距離を置かれ、そしてそのことにももう慣れてしまっている。
学生寮側の手違いで住むことになったアパートは妖怪が住みついていて、妖怪たちは彼女をおどろかして追い出そうとする。しかしこの妖怪たちというのがちょっと間抜けで・・・と話は展開していく。

彼女の不幸(呪い)の理由など、まだまだ伏線はこれから明らかになるのであろうが、同作者の短編集『catch&throw』の著者あとがきにも書いてあったように、「コミュニケーションってなんだろう」っていうことが根底にあって、それは必ずしも互いにベタベタするものではないだろうことはいうまでも無いが、そして、むしろわれわれは日常のどこかで「コミュニケーションなんてあきらめている」と思っているフシもある。
タケヲちゃんは(これから解明されていくであろう)自らの宿命的な不幸(呪い)によって「あきらめている」が、実はふつうのわれわれだって、どこかでそれを「あきらめている」。もしそれが「呪い」によるものだとしたら、それは誰の呪いなのか。おそらく自分自身による「呪い」だろう。

それはともかく、そんな不幸続きのタケヲちゃんも一巻のラストでは読む側もちょっと救われる感じになっているが、これからどう展開していくのかまったくわからない。それにしても、友達に話しかけられたり、遊びに誘われたりするときのタケヲちゃんの反応がいちいちおかしい。
早く続きが読みたい、そんな『タケヲちゃん怪物録』である。